山岳ガイド 岡田康
       





















装備について

  <宿泊形態によって使い分けます> 

山小屋泊の場合
 ・ダウンジャケットでも化学繊維素材でもどちらでも良い。
 ・ただし、ビバークした時の事も考えておかなければいけません。

テント泊の場合
 ・化学繊維の方が無難です。
 ・テントで着ると必ずと言っていいほど濡れるからです。そして濡れたら乾き難いのも欠点です。

<登山目的も考慮に入れる。 登山、ミックスクライミング、アイスクライミング>

登山の場合
 ・ダウンジャケットでも化学繊維でもどちらでも良いと思います。

バリエーション・ミックスクライミング
 ・化学繊維の方が無難です。
 ・ビレイジャケットして、確保中の待ち時間に着ますが、もしそのピッチが易しければ、それをそのまま着て登る時があります。
 易しいので登るのは問題なくても、登っている際に、岩角に引っ掛けて破いてしまう時があります。
 それがもしダウンだと、中の羽毛が飛び散って悲惨な事になった例を見たことがございます。
 
アイスクライミング(ビレイジャケットとして着る事も想定した場合
 ・化学繊維の方が無難です。
 ・アイスクライミングは、その名の通り水が凍りついたものを相手にするクライミングです。だから登山やバリエーションよりも圧倒的に濡れるのです。例えそれが、氷点下で気温が非常に低くても濡れます。なぜなら体の表面はビレイジャケットとして着ているので、若干暖かいからです。
 またシーズンが進むにつれて、氷が少しずつ大きくなるのはご存知ですよね。
 気温が非常に低くて、一見しっかり凍り付いているように見えても、水流そのものはあるのです。少しずつどこかで流れている。
 どんなに寒くても、ある箇所は固く、ある箇所では氷が緩くアックスを突き刺しやすかったと言う経験は、何方でもあるはずです。つまり、氷の緩い箇所から少しずつ水は流れ出しているのです。
 だからアイスクライミング時に、ビレイジャケットとして、選ぶなら化学繊維の方が無難です。ダウン製品を持参するのは良い選択とは言えません。登山用品店へ行くと陳列された登山道具は数多く、選ぶのにも一苦労してしまいます。
 また使用目的や用途によって作りに微妙な違いがあり、一般の方からは見分けがつきにくいのも難点ですよね。
 だからと言ってむやみやたらと購入すると財布がいくつあっても足りません。
 ここでは皆様が登山装備をする上でのワンポイントアドバイスをしております。
 参考にしてみて下さい。

雪山装備の選び方  1. ピッケル
 
2. アイゼン
 3. 手袋
 
4. アウター
 
5. 防寒着 〜ダウンか化学繊維素材のものか〜  
 
6. 冬山の行動中の中間着
 
7. インナー(肌着、下着)
 
8. 靴下 
 9. 登山靴
 
10. ザック 
 
11. テルモス 
 
12. スパッツ
 
13. 行動食
 
14. 日焼け止め
 
15. ハーネス
 
16. 目出帽
 17. サングラス
 
18. ストック

雪山レイヤリング
 実例(私の場合)
 ・八ヶ岳・赤岳登頂


 ・肌着    詳しく見る
    
・メンズ・キャプリーン2(パタゴニア)
    ・ウール素材のもの

 ・中間着    詳しく見る
    ・アコンカグア・フーディー (マムート
    ・アコンカグア・ジャケット (マムート)

    
・R1フーディー (パタゴニア)

 ・中間着のさらに上に    詳しく見る
    ・----・ベスト (マムート)
    
・ナノ・パフ・ベスト (パタゴニア)

 ・アウター    詳しく見る  
    ・アルバロン・ジャケット(マムート)
    ・アイシクルジャケット(ノースフェイス)

 ・防寒着    詳しく見る
    ・ウィンドストッパー・ディライト・ジャケット (マムート)
    ・メンズ・ナノ・パフ・フーディー (パタゴニア)

 ・手袋    詳しく見る
    ・エキスパート・ツアー・グローブ (マムート)
    ・-----(ヘリテイジ)
    ・------(パタゴニア)


装備選びのポイント  1. 装備の選び方、その前に
 2. 商品を薦める販売員やガイドさんの登山経験も大事な指標
 3. 気象条件の違い
    ・雨  雨の多い国、日本
 4. 人気のある山と人気のない山とでは、こんなに違う!
 5. 使用目的に応じて使い分けよう
 6. メイド・イン・ジャパンの底力
 7. ビジュアル、かっこよさ、売行き、企業の思惑・・・

雪山技術  1. 厚手の手袋で慣れない手作業      
 
2. インナー手袋での作業は厳禁です
 
3. アイゼンを着ける環境選び
 
4. 手袋を雪の上に置くのはNGです
 
5. ミトンは何かと便利です
 



1. ピッケル    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
 ・-----(ぺツルシャルレ社)
 ・------(ブラックダイヤモンド)
 ・------(グリベル)
 

長さ

 ピッケルをご購入の際の判断基準は、まずその長さです。
 ピッケルを持ってひざ下20センチぐらいが雪山では適切です。
 
 稀に長いピッケルを勧める方もいらっしゃいますが、長いと平地では使えますが、傾斜地にになると、斜面に突いたピッケルが長い分、非常に使いづらいく感じます。
 ピッケルとは、そもそも何のためにあるのかというのを考えなければなりません。
 滑落を止めたり、傾斜地でバランスを保ったり、急な雪面などに差し込んで登下降を助ける為のものです。
 そんな時に、長すぎたり、短すぎるとどうしても使いにくくなります。

ピッケルバンドは肩掛けバンドか手首用バンドか??

 ピッケルをご購入の際、手首用バンドと肩掛け用バンド、一体どちらがいいのかな?と疑問に思ったことはないですか?
 雪山で登られた事の無い方には、どちらがよいのか皆目見当もつきませんよね。店員さんに使い方の便利不便を聞いてもどちらがいいのか判断が難しい。
 実際、どちらが良いのかと決めるのは、私にも難しい。どちらにも長所、短所があるからです。
 
 例えば、肩掛けバンド、これの長所を申しますと、まず、肩から掛けることで、ピッケルの持ち替えが便利ですよね。ピッケルは斜面に合わせて、持ち替えます。こんな時、手首バンドだと持ち替えが随分と面倒になります。
 また肩掛けバンドは、ピッケルを下ろして作業する時もすぐに手を離しても置いておけるというのが、特徴です。
 短所は、ピッケルを振る時、どうしても頭のヘッドに肩掛けがある分、腕を伸ばしてアックスを振るとどうしてもヘッドの部分が使えてしまい。振りにくいという短所があります。
 次に手首タイプ。
 手首タイプの長所は、肩掛けタイプで短所となったアックスを振る動作が実にスムーズに行えます。
 逆に短所。これはやはり持ち替えが非常にめんどうだと言う事です。登る時、下る時、ピッケルは常に斜面側にあった方が、バランスをとりやすくなります。しかしこの時、手首タイプだとどうしても持ち替えに時間がかかります。持ち替える事が面倒なので、それをやめてしまうと、バランスを崩して命に直結するような事態も起こりかねません。
 また時に、手首タイプは岩を登る際、手首に巻きつけたままで、岩を登る事も出来るし実践されている方もいらっしゃいますが、私は手首に巻いた状態でのこのような動作は、あまり好きではありません。何かに引っかかったり、遠いホールドを取りに行く時に手が重く感じたり、落ちた時に、アックスだけどこかに引っかかって、その時巻きつけているアックスの手首バンドで手が大変なことになるんじゃないかと、ちょっと想像すると恐ろしいからです。

ではどちらがいいのか

 私の場合は、コースを見て肩掛けタイプと手首タイプを使い分けています。
 
 簡単な雪山であれば、肩掛けタイプを使用しています。これは斜面に合わせて持ち替えるのを容易にするためです。
 
 バリエーションの場合は、手首タイプと肩掛けタイプの併用もしくは、
・・・・でしょうか。ラッセルは肩掛けタイプでこなし、難しそうだなと自分で判断したら手首タイプに切り替える。これだと両方の短所を補えます。

 また最近出回っている
・・・・も普通の雪山でも工夫次第で使えると思います。


2. アイゼン    上へ戻る 

使用して良かったもの、おススメ品
 ・-----(ぺツルシャルレ社)
 ・------(ブラックダイヤモンド)
 ・------(グリベル)

 

 厳しい雪山の環境で、もっとも大事なアイテムのひとつがアイゼンです。
 
 冬季、山の稜線上は、強風の影響で雪が飛ばされ氷化している箇所がたくさんあります。
 アイゼンが、ほんの僅か数ミリしか入らないと言うケースも決して稀ではありません。
 
アイゼンの良し悪しが、命に直結すると言っても過言ではないほど、アイゼン選びは大事と言えます。

前爪は付いていますか?

 冬季、アイゼンを購入される際、前爪付きのものをご購入下さい。

・靴との愛称は大丈夫ですか?

 アイゼンと冬用の靴は、セットだとお考え下さい。
 靴にアイゼンが合わない。お店では合ったけれども、歩いていると外れてしまうと言うケースが珍しくありません。
 靴にしっかりと合うものをお店の方と十分に相談しご購入下さい。
 不安のある方は、私にご連絡下さい。

底の柔らかい靴は、要注意

 夏用の靴と冬用の靴の違いは何かと言いますと、もちろん防寒性が一番に上げられると思いますが、実は靴底の固さも大きなポイントなのです。
 夏用の靴底は、比較的柔らかいですよね。これは、ランニングシューズと同じで足首や足裏を柔軟に使うために多少柔らかく作られています。しかし、冬用の靴はそうではありません。
 それはなぜかと申しますと、アイゼンが固い鋳物でできているからです。
 柔らかい靴底に、固いアイゼンを着けるとどうなるか?
 固いものと柔らかいものの間で歪が生まれます。固い雪の斜面や岩場を歩くショックで、アイゼンが外れてしまう事があるのです。
 固いアイゼンを外れないように装着するためには、靴底は固いものでなければならないのです。

 アイゼンをご購入の際は、靴底の固さも大事な指標となります。

アイゼンと靴には相性がある

 アイゼンは必ず、靴と合わせてみてご購入ください。
 アイゼンは靴に合うように作られているものですが、相性の悪いものと言うのは世の常で、道具にもございます。
 実際に、靴とアイゼンを合わしてみて、持って来られても実際に長時間使用してみると相性が悪かったと言うケースもございます。
 できましたらご購入前に、ご連絡下さい。事前にチェックする事も可能です。 
 

3. 手袋    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
・エキスパート・ツアー・グローブ (マムート)
*雪山登山やバリエーションで使用
 ・-----(ヘリテイジ)
 ・------(パタゴニア)


冬用手袋の選び方

 手袋を選ぶときに私が最も気をつけていることは登山目的、山域、季節です。
 利用目的が違えば使う手袋もこまめに変えます。
 八ヶ岳や小屋をベースに出かける山では操作性に優れた革製品が主体、日本海側など湿雪で3泊以上のテントを担いでの山行を行う場合はオーバーグローブを持っていきます。
 登山目的や山域、季節に合わせて手袋は使い分けるようにしています。

 
【私の選び方】
八ヶ岳・一般登山
(小屋泊の場合)
オーバーグローブと革製品特にこだわりなし、でもどちらかと言うと操作性に優れた革製品。
一般登山
(テント泊)
3泊4日以上の山行の場合はオーバーグローブ
*革製品の場合、濡れるとテント泊では完全に乾かす事は難しい。
*クライミングがある場合は革製品も考慮に入れますが、ルートの難易度によります。
*2泊3日程度なら革製品も持って行きますが、緊急時のビバークや途中行動が長引いた場合など、非常時のことを考慮に入れると、革だけでは少し心配です。
八ヶ岳・バリエーション
(テント泊)
皮手袋(予備も持参)
岩登りやアックスを使ってのクライミングの場合はグリップ力のある皮手袋のほうが使いやすい。

八ヶ岳・バリエーション
(小屋泊)
同上

 皮手袋の利点と欠点 

利点
・手のひらが革製品なのでグリップ力があります。アイスクライミングなどには有効です。
・指先が細くなっているタイプのものは手先の作業がしやすく、カラビナやロープ操作では比較的ストレスを感じません。
・岩登りのときも二重のオーバーグローブよりも岩を持ちやすい。

欠点
・革製品は一度水分を含むと乾かすのに非常に時間がかかります。
テント山行では乾かすのに非常に時間がかかり、かつ燃料も必要となります。日本海や小春日和で雪がベチャベチャしている時など、一度吸水してしまった革を完全に乾かすのは無理だと思います。
・革製品の中でも、指先が細い作りのものは山の稜線上ではオーバーグローブよりも冷えやすいでしょう。


 オーバーグローブの利点と欠点

利点
・革製品よりも薄い作りの分、乾きやすい。
・作りが比較的大きく、指先も大きく作ってあるので3レイヤーにしたりいろいろな工夫ができる。

欠点
・薄いつくりの分、岩登りなどに使うと革製品よりもへたりやすい。
・革製品よりグリップ力が劣る
・指先の作りが大きい分、手先の作業がしづらい。

 

私の経験〜手袋編

 2006年、インドヒマラヤに遠征へ出かけました。
 
その際は皮の手袋とオーバーグローブを持って登りました。
 理由は上記に記したとおり、使用目的の違いを考慮したものです。
 壁でのクライミング中は操作性に優れた革製品のグローブを使用しました。
 初日、二日目の午後までは問題なく使えました。
 日中は比較的暖かく、そこまでは皮の手袋(*この時は新品の皮の手袋にさらにメンテナンスを加えました。)でも問題ありませんでした。
 しかし二日目ともなるといかに新品でも少しずつ劣化し革に水分が浸透していきます。
 そして二日目の夕方、日陰となり天候も下り坂になると一気に革の手袋は水分を含んだ状態から凍りつき、カチカチに凍りつきました。
 もちろんその夜に乾かせればよいですが、ビバーク時などガスの量も少なく、水分を含んだ革を乾かすのは至難の業です。
 結局、この段階で革の手袋はお役御免となりました。
 三日目、壁を越えて稜線上に出て主峰を目指しました。稜線上は想像していたとおりの強風と冷え、ここで大き目の三本指のオーバーグローブと暖かなインナーグローブを使用しました。
 おそらくこの状況では操作性に優れた指先の細い革製品は不適だったと思います。

 ここまで多くを書きましたが、結局のところ手袋に万能はないということです。
 革には長所があり、オーバーグローブにはオーバーグローブの長所がある。
 まず着目するのはあくまでも使用目的、山域、標高、宿泊形態など山における全ての状況です。
 それらを考慮した上で、最大限手袋の性能を生かし適材適所で使い分けた方がいいでしょう。

 *もし出かける際に迷ったら、お気軽にご相談下さい。
 


4. アウターの選び方    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
 ・アルバロン・ジャケット(マムート)
 ・アイシクル・ジャケット(ノースフェイス)

 
 冬用のアウターを買われる時、多くの人が迷いますよね。
 どれがよいのかと・・・。
 購入に当たって、絶対に譲れないのが頭を覆うフードです。
 フードだけは、妥協してはいけません。なぜならフードの出来が悪いと雪山では凍傷の原因となるからです。
 
 冬季山岳地の主稜線では、下界では考えられない位の強風が常時吹いているとお考え下さい。しかも、標高が高い分、気温は低く、肌に直接風が当たる時間が長ければ長いほど、凍傷の危険は高まります。

 登山用品店でご購入の際は、試着して、この顔面部分を覆うフードが十分顔を覆っているかどうか確認して下さい。
 
 フードを被り横から見て、鼻や口が出ているようでは、全く使い物になりません。また顔や口がギリギリ出ていない。これでもダメでしょう。登山中は歩いています。行動中、動いている時に出たりでなかったと言う状態では、凍傷の危険が付き纏います。
 とにかくフードを頭に被ってある程度の余裕がないといけません。

 最近、フードの主流はタイトなものばかりです。見た目はかっこいいですが、厳しい雪山の稜線上では、まったく使い物にならないとお考え下さい。

 次に、バリエーションをされる方は、ヘルメットを被った状態で、フードを被って下さい。
 フードを被って、自由に頭を動かせますか?フードに余裕はありますか?世から見て鼻や口は出ていませんか?この辺りが大切なチェック部分となります。これに不安や不備がある場合、迷わずご連絡下さい。

シンプルなもの

 私は仕事も含めてクライミングをする機会が非常に多いので、胸の周りがすっきりしたものを選びます。
 理由は胸の部分にポケットなどが多いとクライミング時に足元を見るとポケット部分にふくらみを感じ見づらいからです。
 また衣類と言うのは裁縫部分が減れば減った分だけ軽くなります。
 将来、バリエーションやアイスクライミングなんて絶対しないと言う方は構いませんが、もし将来そういったクライミングもやってみたいと考えておられる方は胸元すっきりタイプをお勧めします。
 
ソフトシェルとハードシェル

 お店で、アウターを購入される際、ソフトシェルと言う素材で悩んだ事はございませんか?
 ソフトシェルは非常にストレッチ性があってアイスクライミングなどアクティブな運動には非常に有効で、かつハードシェル以上に透湿性もあるので汗ばみにくいと言う利点があり、最近売れております。
 しかし透湿性に優れていると言う事は裏を返せば濡れに弱く、強風では寒いとも言えます。
 最近は、商品の進化に伴い濡れに対してある程度耐性ができましたが、それもやはり「ある程度」と言う形容詞が付いてしまいます。
  
 ここで私の経験談をひとつお話しましょう。
 過去に友人とアイスクライミングに行った際、ちょっとしたシャーワークライミングになった時、友人のソフトシェルはあっという間に水を通し、中の下着まで濡らしてしまいました。私はハードシェルを使用しておりましたが、中の衣類はまったく濡れませんでした。同じアウターとして売り出していてもこれほど違うのかと驚いたものです。
 ソフトシェルはあくまでも濡れが想定されづらい状況の中では有効ですが、濡れる可能がある場合はあまりお勧めできません。
 雪山なら気温も低いので問題ないのでは?とお考えになる方もおられるかもしれません。
 確かに八ヶ岳や北アルプスの稜線上では冬に濡れる事は想定しづらいです。しかし12月や3月の雪山ではアプローチの段階でみぞれや雨、その後標高が上がるにつれて雪になるパターンはよくあります。
 一度濡れてしまうと小屋で乾かさないとなかなか乾きません。
 できれば冬山ではそんな不確定要素は省いておきたいものです。
 ましてや高価なアウターを一着だけ購入するなら、より安心できる機能を備えたものを購入した方がよいでしょう。
 私は、一着だけ購入するなら迷わずハードシェルを購入します。
   

5. 防寒着 ダウンか化学繊維か?    上へ戻る 

使用して良かったもの、おススメ品
・ウィンドストッパー・ディライト・ジャケット (マムート)
 ・メンズ・ナノ・パフ・フーディー (パタゴニア)

 
ダウン素材と化学繊維のものどちらを選ぶ?

 重量比重割合も含めて温かいものは?と言われると温かいのはダウンジャケットです。
 羽毛は軽くて実に暖かい。
 でもだからと言って山でもダウンジャケットがベスト!とはならないのが、山の難しい所です。
 
 山に持って行く防寒着と言うと、ダウンジャケット、化学繊維の防寒着などが思い浮かびますが、
私が愛用しているのは化学繊維の防寒着。ダウンジャケットを使用する事はほとんどありません。
 それはなぜかと申しますと、やはりダウンは濡れに弱いからです。そしてその濡れが、すぐに乾かせるなら良いですが、山では下界のように簡単には、乾かす事ができない言うのが大きな問題となります。
 羽毛は軽くて暖かい。しかし、濡れには非常に弱く、濡れるとダウンはペタンと潰れてしまい、本来の温かさを失ってしまいます。その点、化学繊維のものは、濡れには強く、濡れてもある一定の温かさを保つ事が出来ます。
 山小屋をご利用をされる方は、濡れても小屋で乾かす事が出来るかも知れません。しかし、乾かす事が出来ない環境。例えば、不測の事態に陥った時、ビバークなどで一夜を過ごす時などはどうでしょうか。得てして不測の事態に陥る時と言うのは、気象条件が悪い時で、雨や雪が降っている状況が多いはずです。そんな時にダウンを着てもやはり濡れてしまいます。 いったん濡れるとビバーク時に乾かすことは不可能と言ってもよいでしょう。また雨具やアウターの下に着たとしても体が発する湿気で蒸れ、やはり時間の経過とともにダウンは機能を徐々に失って行きます。
 また強度?の問題もございます。ダウンは登山中に着ていて破れてしまうと当然、中の羽毛は飛び出します。ほおっておけばいくらでも飛び出してしまいます。しかし、化学繊維のものは、そう簡単に飛び出しません。こんな細かい所も気にかけて見て下さい。
 
 最近、ヒマラヤ等の海外へ出かけていくクライマーの大半は、軽いダウンジャケットではなく、化学繊維の防寒着を愛用しています。
 それは、
軽さ、温かさよりも濡れに対するリスクを減らすために、化学繊維を選択しているのです。

フード付きのものは、山では非常に重宝します。

防寒着を選ばれる際、私はフード付きのものを好んで選びます。
なぜかと申しますと、ちょっと寒い時に被ると実に温かいからです。
寒い時、暖かなニット帽なんかを被るとすぐに温まりますよね。それと同じで、フードも被ると実に温かい。
特に冬山では重宝します。

行動中も稜線上があまりに寒い時、フード付き防寒着を着るとまるで別世界にいるような温もりを感じます。
私もヒマラヤなど、海外の山では、必ず防寒着はフード付きのものを愛用しています。
やはりそれも同様、暖かさを確保するためです。
防寒着を購入される際は、ぜひフード付きのものをご購入下さい。

6. 冬山の行動中の中間着   上へ戻る 

使用して良かったもの、おススメ品
 ・肌着の上に
 ・アコンカグア・フーディー (マムート)
 ・アコンカグア・ジャケット (マムート)
 ・R1フーディー (パタゴニア)
 ・中間着のさらに上に
 ・----・ベスト (マムート)
 ・ナノ・パフ・ベスト (パタゴニア)


ベストな着こなしは人それぞれ
 雪山での行動中は意外と暖かいものです。行動中にダウンジャケット等の防寒着を着て行動すると汗が出て暑くて不快と感じる人の方が多いのではないかと思います。でもそれも人の体感温度によってさまざまなので一概には言えません。友人と一緒に山に入ってもアウターの中に着ている服は、人によって様々です。
 自分にとってベストな着こなしと言うものは、実際に山に入って、自分の体温や体感と照らし合わせて、選んで行くのが良いのではないかと思います。

気候や条件で微妙に着分ける為に、厚手のものはあまり使用しない
 私は、気象や気温、あるいは太陽の顔の出し具合で、微妙に着分けています。
 中間着で申しますと厚手のものよりも中厚手や胴体部分だけを暖めるベスト類をを好んで使用しています。
 なぜ中間着を選ぶかと言うと、微妙な温度調整をするためです。
 厚手のフリースや体全体を覆ったジャケットだと、生地が厚い分、微妙な温度調整が難しくなります。着ると暖かいを通り越して暑かったり、脱ぐと生地が厚い分、一気に寒くなったりと言った具合です。
 こまめな温度調整をするためには、厚過ぎないものをお選び下さい。


7. インナー(肌着、下着)     上へ戻る 

使用して良かったもの、おススメ品
 ・メンズ・キャプリーン2(パタゴニア)
 ・ウール素材のもの(パタゴニア)

 
 冬に下着選び、これはなかなかに難しいですよね。
 化学繊維のものやウール、メリノウールなど、最近では耳慣れない新商品が続々登場しています。
 正直なところ、私は濡れに強く、匂いもあまりしないウール素材が一番のお気に入りです。
 ウール素材は汗で濡れても温かく感じるからです。
 ヒマラヤ等の高所でも、より厳しい環境ではこのウールの下着に包まれながら登っています。
 化学繊維はどうなのと聞かれれば、これも悪い訳ではありません。しかし、化学繊維でも速乾性、温かい製品と記載されていても冬山で実際に着ると寒く感じるものがあります。
 購入に際しては、外れのないウールの方がより、確実だと言えると思います。

・ちょっと気をつけよう!!

 一つ気をつけて頂きたいのは、その裁縫の仕方です。
 メーカーによっては、肌に当たる箇所の裁縫が雑で、チクチクして着ていられなかったり、すぐによれよれになってしまってフィット感がなくなってしまったりしたことがありました。
 気をつけて下さい。 

8. 靴下について    上へ戻る

  
 靴下選びも雪山登山では重要な要素の一つです。
 
化学繊維かウール素材か?

 化学繊維かウール素材かどちらか選びなさいと言われると、ちょっと困ります。
 正直どちらでも良いと言うのが私の回答となるでしょうか。
 
 私の場合、ヒマラヤ等の高所で使用する以外は、化学繊維で通しております。国内であれば化学繊維で十分かと思ったりもします。

厚手、中厚手、薄手のどれを選ぶ?
 
 靴下は登山靴とセットとなります。
 登山靴サイズの関係上、暑いから今回は薄手、寒いので中厚手と履き替えるわけにはいきません。靴の中で、靴下の厚さで、靴がゆるく感じたり、窮屈に感じたりすることがあっては、行動に差障りがございます。
 それぞれの体感温度にもよりますが、温かさ、足裏感覚を重視するなら中厚手が適切ではないかと思います。
 
 ちなみに、国内で使用する場合、私は中厚手。ヒマラヤ等国外で使用する場合は、厚手を使用しております。もちろんこれに合わせて使用する靴も変えています。


9. 登山靴    上へ戻る 

使用して良かったもの、おススメ品
 ・マムークサーモ (マムート)
 ・マムークGTX (マムート)
 ・ネパールエクストリーム (スポルティバ)

 
 冬用の靴について、お話します。
 冬用の靴はどれがいいでうかとよく聞かれます。これは非常に難しい質問です。おそらく他のガイドさん、店員さんも難しいのではないでしょうか?
 なぜならあらゆる靴を履いた経験がないのです。経験がないと言うのは、本当にアドバイスが難しい。
 色々な靴で山を登り、バリエーションを登りと言う経験がないのですから。
 私の靴の判断基準は、あくまでも足に合っているかどうか。購入時に、少しでも違和感を感じたなら行動時間の長い山では、その違和感は靴ずれなどになって跳ね返ってきます。
 また、購入時に足にぴったりサイズと言うのも良くありませんね。なぜなら足は浮腫むからです。
 最近は、軽量化されらものが多数出ています。じっくりとご検討下さい。


10. ザック    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
 ・トリオン・ガイド (マムート) *35+7、45+7リットルがあります。 おススメ!!
 ・トリオン・プロ (マムート)

 
 ザックは身長にあったものをお選び下さい。
 最近では色々な物が売られていますが、ポケットなどの収納箇所が、たくさん付いているタイプのものは、同じ容量が収納できても、ポケットを付けるために裁縫を施し布を重ね合わせている分、重くなっています。
 私は、いつもなるべく、ポケットなどが少ないシンプルなものを愛用しています。
 それは、やはり重さを考えての事です。もちろんまったくポケットがない訳ではありませんが、必要最低限のものだけが付いているものにしています。
 もちろんポケットがない分、収納は気を使っています。休憩時には、飲み物や食べ物がすぐに食べれるように、当然すぐに出せるところに置いています。

ザック収納の工夫

 ザックを収納する時は、なるべく背中に近い所に重たいものを収めるようにしています。
 背中からより遠い所に荷物を収めるとザックが後ろに倒れるような形となり、荷物以上の重さを感じてしまうのです。
 一度試してみてください。


ザックの背負い方、わたくしの場合

 雑誌をみるといつもザックの背負い方は、こう記されています。
 肩ベルトを締め、チェスト部分のバックルを止めて、背面部分をピッタリとつけて背負うのが楽な背負い方だと。
 しかし私はこのように背負うことはありません。約10年間、チェスト部分のバックルは止めたこともございません。

 では私はどのようにして背負うのかと言いますと、まず、腰ベルトを骨盤の上でしっかりと締めます。次に、肩ベルトは、肩に食い込まない程度に緩くし、チェスト部分のバックルは止めない状態で背負うのです。そうすると背面部分は、肩ベルトが緩いため、掌が入りそうな位の空間ができます。
 そうするとどうなるか。
 荷物は肩で背負うというよりは、腰で背負う状態になるのです。腰ベルトを締めることによって、荷物の荷重は、腰に集中し肩はバランスを保つ程度となります。

 この荷物の背負い方の根拠は、富士山で強力をしていた頃に遡ります。
 その当時は、雑誌で紹介されていた通り背面にぴったり荷物が来るように背負っていました。しかし、富士山で重い荷物を背負っていると、どうにもこうにも疲れるのです。特に肩に食い込むベルトが気になって仕方がありませんでした。そして終わるといつも決まって肩が凝りました。それから、どうにかうまく担ぐ手立てはないものかと思案していると、上記の担ぎ方に辿り着いたのです。
 この担ぎ方に変えてから、すこぶる楽になりました。
 まず第一に、肩は緩めなので荷物が食い込まなくなった分、肩が凝る事もなくなりました。
 第二に、チェストを締める事を止めたことで、呼吸の動作、横隔膜が膨らんだり萎んだりという動作に制限がなくなりました。チェストを締めるとどうしても胸の動作が制限され呼吸がしにくく感じていたのです。特にその当時は富士山だったので、このチェストを止めた事で、ずいぶんと楽になりました。
 最後に、腰ベルトは骨盤上できつく締めます。こうする事によって、荷物を腰で担ぐような形になります。
 
 この腰で担ぐという動作に色々なメリットと理にかなった部分があります。
 まず、最初にどんな運動も腰、お尻が起点になるという事、このからだの根幹分分がしっかりしていないと運動は上手くゆかないはずです。
 また荷物をより、高い位置である肩で背負うよりも、より地面と近い所である腰で担いだ方が、重心も安定し楽なのです。
 加えて、腰に荷重の大半が来ている分、上半身は、常にリラックスした状態でいられるので、登山中、登山後、上半身が疲れているという状態になった事がございません。
 イメージとしては、腰で重荷を担ぐと言うイメージです。
 かれこれ、10年ほどこの担ぎ方です。
 ちなみに、私はクライミング時、アルパインでザックを背負う時もこの担ぎ方です。
 ハーネスの上に、腰ベルトが来るので、腰のギアラックは使えない分、ザックを加工して付けれるようにしたり、肩のギアラックししたりと、色々工夫しています。
 腰を締めて、肩ベルトを緩めることで、上半身は常にりラックした状態で、ホールドを探したりする事ができ非常に楽です。
 フットホールドに乗り込む時も、上半身で荷物を背負っている時は、どうしても立ち込みを体全体でよいしょとするのに対して、腰で荷物を背負うと、立ち込みも腰から下、下半身に負荷がかかるが上半身は自由な分、楽に立ち込めます。
 荷物を背負うのは、腰で!!これが私のやり方です。興味のある方は、試してみて下さい。

11. テルモス    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
・ヤマセン


 冬山では、温かい飲み物を飲みますよね。
 そんな時はやっぱりテルモスが必要です。
 しかし、このテルモスもまた、下界用で作られたものだと言う事をご理解下さい。きっと寒い時期を想定して作られていますが、稜線で強風の吹く環境、あまりの低温と言うのは想定していません。あくまでも日常生活用なのです。
 
 ほとんどのテルモスが、ボタン式ですよね。しかし、これは低温下では、仇となる事がございます。
 雪山経験が豊富な方ならボタンが凍りついてワンタッチでは閉まらなくなっと言う経験が一度はあるはずです。
 少し不便かも知れませんが、やはりアナログタイプ!!手動式で蓋の開閉ができるものの方が厳しい環境では、失敗がなく逆に便利です。



12. スパッツ    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
-----(OR)


 私の今までの使用経験で最も使いやすかったのはマジックテープで開閉を行うタイプのスパッツです。
 ジッパー式のものもありますが、マジックテープ式のジッパーの方が遥かに便利です。
 ジッパー式だと雪山では、着脱の際に、雪が詰まってジッパーが動かなくなった事、だれでも一度はあるはずです。
 時間がかかり、イライラしますよね。しかし、マジックテープならあっという間に着脱できます。
 またマジックテープ部分が凍りつくのではと想像される方もいらっしゃいますが、私の経験上、機能不全になった事は一度もござません




13. 行動食    上へ戻る

 雪山でどのような行動食を持ち歩くか?を考える前に雪山はどのような環境にあるかを考えましょう!!
 凍えるような寒さ、降りしきる雪、厚い手袋をして行動食の袋を開け食べるのです。

寒さ
 雪山の寒さは並みでありません。マイナス15℃以上になる事もしばしばです。
 風が吹けば、風速一メートルにつきマイナス一度の体感温度になると言われるほどです。
 例えばおにぎり、これを厳しい雪山の環境下に置いておけばどうなるか。当然凍りますよね。
 そうすると山では食べれないとなる訳です。
 水分を含むもの、これは山では凍ってしまいます。そうお考え下さい。

降りしきる雪

 降りしきる雪の中で、吹雪の中で、風がある中、ゆっくりとご飯を食べれるでしょうか?
 やはり難しいですよね。
 できることならすっと取り出して、すぐに口に運べるものが良いですよね。
 子袋に入っているもの、飴などをポケットからすっと取り出して口に放り込む。
 そんなものが良いかも知れません。

14. 日焼け止め    上へ戻る

 雪山で日焼け止めは必携です。
 特に、女性よりも男性の方、注意が必要です。
 女性の方は普段から準備周到ですので、これは書かなくとも準備されています。
 しかし、問題は男性陣!!日焼けなんて気にしない、まあ大丈夫だろうと高をくくって準備されない方がたくさんいらっしゃいます。俺はスキーでもつけない・・・と言う方も聞いて下さい。
 本来太陽の光は、雪、山、海など反射するものによって、何倍も紫外線量と言うものは増えますが、登山となると、そこに標高も加味しなくてはなりません。標高があれば紫外線の量も増えるのです。
 雪山登山が初めての方は、とにかくしっかりをご準備下さい。翌日、会社に行って大変なことになるかも知れませんよ!
 
 *春などは日照時間も長いですからさらに準備が必要です。


15. ハーネス    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
 ・オフィール・3スライド (マムート) アルパイン用
 ・-----(エルゴ) フリー用ですが、アルパインでも使用
 


 私もハーネス選びには苦労しています。
 しかも、ハーネスはモデルチェンジが頻繁で、困ってしまいます。

 最近の主流は、とにかく軽いものです。
 レッグループから腰のベルト部分まで、どれもこれも、単なる布!?ですか?と問いたくなるような素材を使用しています。もちろんテストをして販売にいたっているわけですが、頻繁にテンションをかけたり、クライミング中にフォールしたりすると、これで大丈夫?体に来るショックも加味していますかと疑問に思わざるを得ません。
 レッグループも腰ベルトも軽いものは、軽くて便利なのですが、懸垂下降をする時に、なんだか食い込んで痛い!!そう思う事もあります。

 私がハーネスを選ぶ時のポイントはいくつかあります。
 まず、腰のベルトがしっかりしている事、今流行りの薄手のタイプとは逆行しています。
 私はクライミング時(限界のグレードをトライするのに頻繁に落ちる事がある場合)は、軽量タイプは使用しません。
 なぜか?
 あれだけのフォールをする以上、例え制動確保をしたとしても、体に必ず負担が来るのです。
 ではそれはどこに来るのか?ハーネスが腰とレッグループでできている以上、そのどちらにも来ると考えて間違いはないのではないでしょうか?
 良く腰の悪い人が腰ベルトしていますよね。あれは腰を守るためにしっかりと作られています。あれが薄いハーネスの素材だったら、まずやる意味がないと思います。腰をケアするには、幅広で素材はしっかりしたものとなるのではないかと思います。
 それと同じで、ハーネスも腰の部分はしっかりしたものが良いのではないでしょうか?
 
 次に注目すべきは、ハーネスでテンションをかけた時、体のどの部分に、体重が来るのか??と言うことです。
 これを左右するのは、レッグループからビレイループを通すまでの距離、つまり股上が長いと落ちた時、あるいは懸垂時など、テンションが足の大腿部ではなく、腰だけにかかってしまいます。(これは欧米の人の体の作りになっているからなのでしょうか?)
逆にこの股上部分が短いとテンションは腰ではなく、人間の体の中でも筋肉の多い大腿部にテンションが来ます。
そうすると腰への負担が減ります。

以上を考えて私はハーネスを選んでいます。

では、今ベストのハーネスはどれかと問われると、私はないと回答します。
しかし、ないとなると困りますよね。

私の経験談

 私は愛用のハーネスがございます。
 今はもう絶版となってしまったアークテリックスの「タルガ」、このハーネスは最高でした。
 何が最高であったかと言うと、上記の部分がすべて満たされバランスも良かったからです。
 ちなみに私は、絶版になると聞いて、そのハーネスの予備を買いました。今は予備を使用しています。
 私は当然これ以外のハーネスも試しました。もちろんクライミングで言えば30日以上。
 しかし、決まって他のハーネスで登ると翌日腰が痛くなります。痛くならなかった事は御座いません。
 しかし、このタルガを使用して翌日、痛くなったことはただの一度もないのです。嘘みたいな話ですが、本当の話です。タルガの使用日数は500日以上でしょう。
 これはもうハーネスの良し悪しであると言わざるを得ません。
 時代と逆行するように腰がしっかりしたものを作るところはないのでしょうか?
 誰が何と言おうとこれがいいだ!!そんな頑固なハーネス作りのお店があればいいのに・・・と思ってしまいます。
 良いハーネスが多く出回るj事を期待します。


16. 目出帽 別名「バルクラバ」    上へ戻る

使用して良かったもの、おススメ品
 ・バルクラバ・アークティック・WS (マムート)
 ・------(パタゴニア)


 通常冬山へ出かけるときはニット帽だけではNGです。必ず目出帽もご持参下さい。

・フード付きの衣類の思わぬ落とし穴

 最近では、目出帽に似せたフード付の衣類が流行っていますが、商品によっては思わぬ落とし穴がある事も忘れてはいけません。
  例えばフードを被って顔を覆う面積が狭いものは当然NGとしても、試着段階で顔を十分に覆っていても、行動すると頬が出たり出なかったりと言うようなものもNGとなります。
 フード付きの衣類と言うものは、胴体と一体となっている分、激しい動きに合わせて肌が出たり、出なかったりすることがございます。
 ほんの僅か2センチ四方の頬が出てしまうような状況でも、雪山の強風時には耐えることができません。ご注意下さい。
 強風時には、動作中でも目だけしか出ていない状況を容易に作ることができないと十分とは言えないのです。
 ただ、だからと言って目だけ開いている非常にタイトな作りの物もNGです。
 鼻の部分を出したり被せたり容易にできるものが良いでしょう。
 とにかく雪山装備は慎重に、そして分からない時は迷わず、お気軽にご相談下さい。


17. サングラス    上へ戻る
 
 サングラスは、ケースの硬いハードケースに入れてご持参下さい。
 布に包んで持って来られて壊れてしまった例もございます。


18.  ストック    上へ戻る

 昔は杖なんて言うと、お年寄りの方が使われるものと言うイメージがございました。
 また、ストックに頼ると筋力が衰える。バランス感覚が悪くなると言った事もたまに言われます。
 あるいはもしかするとそうなのかも知れません。
 しかし、私はそれでもストックを使います。

関節部分は消耗する
 関節部分は消耗品である!という認識があるからです。筋肉はトレーニングで強化できます。山に登るだけでも筋力強化になっていると思います。すこしずつ足も太くなってきます。関節周りの筋力も強化されて関節部分への負担は減っていると言えます。しかし、それでも何かしらの負担が関節部分に来ている。これは揺るぎない事実です。
 人間の関節部分などは年齢や加重によって少しずつ消耗していきます。少しでもショックや関節部への負担を減らしたい方は、ご使用を勧めします。
 私は、どんな低山でも持参します。




1.
 装備の選び方 その前に    上へ戻る

まずはじめに
登山装備をご購入される前に、登山装備は、登山者や企業の努力によって、日々進化していると云うことをまずご理解下さい。今私が書いている登山装備へのこだわりも、日々の進化によって過去のものとなる可能性もございます。
その事をご承知の上、皆様の装備選びの一助となれば幸いです。

2. ガイドや販売員の登山経験も購買には大事な指標のひとつ!    上へ戻る

 仕事でお客様と初めて会った時、そろえられた装備を見て絶句することがよくあります。この装備、今はもう使わないでしょうと言う装備を、登山経験者、登山用品店勤務スタッフ、さらには山岳ガイドに勧められて購入されているからです。
 登山装備と言うものは日々改良されていますから、もちろんそれも仕方ない部分もございます。しかし、登山装備は、厳しい山の環境では命に関わるもの、そして決して安価ではございません。できる事なら、確かな品を購入したいものです。 
 
 購入される前に、その装備を勧めてくれた人の登山経験は判断材料の一部になります
 
 例えば、私に登山装備を聞くとします。
 普段色々なところで登っていますが、もし北海道の山について聞かれるとちょっと困ります。
 それはなぜか?
 なぜなら私は北海道の山を一年を通して登った経験がないからです。
 
 本州の山と違って、北海道には北海道独自の自然環境があって、気象条件が本州とは異なるからです。
 もちろん、同じ山ですから考えが及ばないほどの大きな差があるとは言いません。
 しかし、やはりまったく同じであるとは言えない以上、そして、そこでの経験がない以上、こうであると断言することも難しいと言えます。条件が変われば、やはり登山装備も微妙に変わるというのが自然です。
 
 そんな時は、経験のある北海道のガイドさんや店員さんに聞くのが一番自然ではないかと思います。

 とにかく
経験がある、商品を実際に使用したことがある、と言うのは購買において大事な指標のひとつであるとお考え下さい。
 


3. 雨  雨の多い国、日本    上へ戻る

 その商品はどのような環境で、生まれ進化したものでしょうか?
 日本は海に囲まれた島国です。当然欧米よりも遥かに雨が多い。しかも雨はシトシト降ることも珍しくありません。
 例えばテントもそうです。私がいつも思うのは、欧米のテント。これ雨の時大丈夫なの?と思う時がよくあります。日本じゃ使えないと思うこともしばしば。
 向こうのテントは日本用、おそらく雨の多い所を想定して作ってはいないのではないでしょうか?
 もちろん雨の事も想定しているはずです。しかし、日本の様にシトシトと長い時間降る事までは想定していないのではないでしょうか。
 製品は、その環境に適したもの、気象条件、環境など、あるあゆるものを基本にして商品は作られ売れていくはずです。
 それと同様に、テント、手袋(革製品)、衣類(ソフトシェルなど)もそれぞれの国の気象条件に合わせて作られていると言えます。
 だから欧米の製品が必ずしも日本の登山環境に適しているとは言えないと私はいつも考えています。


5. 人気のある山と人気のない山とではこんなに違う!!ラッセルしますか?    上へ戻る

 欧米の登山スタイルも登山装備の一役を担っています。
 例えば、クライミングへ行く時のアプローチ。
 昔、ヨーロッパへ登りに行った際、そのアプローチの近さ、便利さに驚いたことがあります。
 ゴンドラに乗って、スノーシューを履いて、あるいは山スキーを付けてシューっと快適にアプローチ。
 この状況だから革手袋が主流になるんだろうなと思いました。
 手袋が雪と接する時間が極めて短い、時間が短いと当然、濡れは少なくて済みます。
 例えば似た例を日本で言うと八ヶ岳。私も仕事柄、冬場は八ヶ岳の仕事が多くなります。
 八ヶ岳で、仕事をしているとほとんどのお客様は、革の手袋です。それが問題になることはありません。水分を含んで重くなるので、長期では革は不向きですと伝えてもあまり実感はないのです。
 そこには、八ヶ岳特有の事情が隠されています。
 八ヶ岳の赤岳はシーズンを通して多くの登山者が入山します。すると登山道は、快適に歩けるように慣らされ、ラッセルなどせずに頂に立つことができるのです。
 ラッセルがなくなると、当然手袋が雪に触れる時間も短くなります。もちろん多少ラッセルがあったとしても、赤岳ならそれほど時間はかかりません。
 これをもし人気のない山域にかえると、事情は変わってきます。
 積雪があればラッセルも出てきますので、どうしても雪に触れる時間は長くなります。するとやはり濡れを感じずにはいれなくなるはずです。
 人気エリアとそうでないエリアでは装備に変化も出てきます。ご注意下さい。


6. 使用目的に応じて使い分ける!    上へ戻る

 私は、日帰りでも行動時間がなくなる場合、使い分けています。
 例えば、アプローチにラッセルがあって、クライミングルートにとりつく場合は、ラッセル用にヘリテイジの・・・、クライミング用にグリップ力と操作性に勝る革製品という具合です。
 アプローチでも日帰りなら革製品でも良いかも知れません。でも私はより軽く行くために、手袋が水分を含んだことを想定して水分を多少含んだとしてもまだ軽いテリテイジの・・・を使用するのです。
 軽量化できた分、おいしい行動食を持っていけますから!!


7. イド イン ジャパン!!    上へ戻る

 日本メーカーのヘリテイジは、革のものではなく特別な素材のものを使用し販売しています。
 外国製のものとは違う作りの商品です。
例えば、手袋。外国製のものほとんどが、革製であるのに対して、ヘリテイジは、日本特有の気象条件、そしてラッセルしながら山を登る。継続で長期山行をするといった具合に、その登山スタイルにも合致したものとして・・・の手袋を作っています。テント山行でも、乾かすこともいくらか可能で、扱いやすい。
日本独自の気象条件、登山スタイル、そしてそれに答えた企業の人たちの努力によって作られたものです。
テントは日本製が最高!!です。
私は好んでエスパースを使用しておりますが、とにかく、シンプルさ軽さでは、外国製品の追随を許さない!そう感じます。
他のものが悪いのではなく、とにかくシンプルで、耐久性もあり、シンプルな中にも扱いやすさ、痛い所に手が届く便利さがあります。
 一つ例をあげましょう。例えば皆さん雪山で、テントをたたむ際、テントに雪が着いたり凍りついたりで、元のサイズよりも少し大きくなってしまって、収納していた袋に入らなくなったということはございませんか?雪山でテント泊をされる方で、日本製を使われていない方にはきっとこの経験があるはずです。入らないと辛いんですよね。辛いだけで済めばいいですが、天気が悪い時にこの作業をすると、折角の行動時間が削り取られてしまいます。
 そんな時、エスパースならそのことも考慮して袋を作っているので、ピッタリきれいに収まります。
いつもこんな時、「みんなでやっぱりエスパースだな!!」と言い合ったりするものです。
細かい部分に気が付くのが、メイドインジャパンの素晴らしさだといつも実感させられます。


8. ビジュアル、カッコよさ、売れ行き、企業の思惑    上へ戻る

 登山用品は大自然の厳しい環境下で、普通の商品よりも操作性、軽量化、あるゆる部分で秀でています。
 しかし、どんないいものでもそれが売れなければ、意味がない。商品開発にお金をかけるわけにはゆかないというのが、多くの企業の考えるところではないでしょうか?
 ではどういうものが売れるのか?
 当然機能性に優れ、使用目的に合致したものは売れます。
 しかし、それだけでは、やはり物足りない。そこにビジュアルとかカッコよさ、かわいさを加えて売るのです。
 そしてそここそが、商品売れ行きの分岐点とも言えるのです。
 同じ機能性、商品で、色合いなどで選びのは良いのですが、機能性を多少変えてでもこちらの方がかっこいいからと言う選択は、もしかすると遭難の第一歩なのかも知れません。





1. 厚手の手袋で、慣れない手作業    上へ戻る

雪山で厚い手袋をして、物を取り出して食べる作業を容易にできますか?
青空広がる晴天の下なら、手袋を外してゆっくり食べることも可能です。
しかし、やはり寒い時は、手袋から手を出すと一瞬で冷えてしまう。
常に厳しい環境下で、行動食を食べなければならないと言う事を念頭に入れて行動食を準備するのは雪山装備を準備するのと同じぐらい大切なことです。
例えば、こ袋に入っている小さなビスケット、これを一つ一つ袋から出して食べるという作業を厚手の手袋でできるでしょうか?天候の悪い時はその行は歩く以上に大変かもしれません。雪山経験豊富な方ならこの悪天候で、包まれていたビニール袋を風に飛ばされてゴミをしてしまったと言う経験が一度は必ずあるはずです。
そんな時は、事前に厚手のジップロックに入れて持ち歩くと言うのもひとつの手です。
とにかく事前にすぐに食べれるように準備しておくこれが大事ですね。ゴミを未然に防ぐと言う事からも極めて大事!!




2. インナー手袋で作業は厳禁   上へ戻る                 

 アイゼンを付ける時、普段アイゼンを付けられる時に、皆様何気なくつけておりますが、ここにも注意点がございます。
 まず、中腰で付けられる方、こちらはかなり付けづらい。なるべく片膝をついた状態で装着しましょう。

 アイゼンをしている時に、手袋をして付けられる方がいらっしゃいますね。それは間違いではありません。しかし、インナーの手袋で付けられる方、これは凍傷の第一歩となってしまいます。
 なぜなら、アイゼン装着時に必ずと言っていいほど、雪が手袋に付着するからです。
 手袋に付着した雪は、オーバーグローブの中に入れると当然、濡れてしまうのです。手袋の中で濡れてしまえば、稜線に出た時、冷たい風にさらされ一気に凍傷の可能性も出てきます。
 少しでも濡らさない為に、アイゼンを付ける時、行動食を食べる時などは、手袋はアウターを着けた状態でアイゼンの装着が出来た方がよいですね。
 常に、吹雪など危急時でも安心してアイゼンの着脱ができるように日頃から練習しておきましょう。


3. アイゼンを付ける環境!!    上へ戻る

 アイゼンを付ける時、固く踏まれた雪上のコンディションとふかふかの新雪の雪の中とでは、よほど慣れていないとアイゼンの着脱にかかる時間に、ものすごく大きな差が出ます。
 アイゼンを付ける時は、新雪箇所なら、周囲を十分に踏み固めて、片膝をついて作業ができるスペースを作ってからアイゼンを着けましょう。
 人気のない雪山ではこんな作業が自然にできればよいですね。

4. 手袋を雪の上に置くのはNGです    上へ戻る

 手袋をしまって、素手を出す時ってありますよね。
 そんな時は、手袋をつい地面に置いてしまいがちです。
 しかし雪の積もった上に置くと、必ずと言っていいほど、ほんの少しの風で手袋に雪に入ってしまったりして濡れてしまう事がございます。
 雪山では、手袋は決して雪面上においてはいけません。ではどこに置けばよいのか?
 もしハーネスなど腰ベルトをしている時は、胸のファスナーを開けて、胸の中にしまう事が出来ます。
 もししていない場合は、アウターのポケット等にしまって下さい。

5. ミトンは何かと便利です    上へ戻る

稜線で歩かれている時、手袋しているのにまだ寒い、そう思った事はございませんか?
そんな時の為に、「私はミトンの3本指または2本指を持っています。
サイズもその事を想定して、ワンサイズ大きなものを用意。すぐに手袋の上に被せることで、手を保温する事が出来ます。


それと同様にバリエーションへ行った時も同様です。
友達同士で言って、ルートにとりついた時、リードに時間がかかるなと思ったら迷わずミトンを確保グローブとしてビレイ時のみ使用します。
これなら寒い中、じっとしてビレイしている時でも手を寒さから守る事が出来ます。登る時は、手袋をしまって、勝負用のグローブで登るのです。